売り物になる話の書き方なんか知りません。そもそも文章の勉強練習なんかしたことない。
たまたま自分が面白いと思う話を面白いと思う方が出版社の編集部にいただけの縁で本を出版した身としては、売るための努力のうちでできることは限られています。
『売るためには露出である。書店への影響力は皆無だ。でも通販サイトへの直リンクがついた紹介文は書店の平台と同じことだ』
という認識のもとに上巻発売時にこういうことをやりました。


あざはん Webで本を紹介してくれた方にサインを


比較するための私自身の過去実績や私と似たようなほかの方の平均的な販売部数も知らず、何より今どの程度売れているのか知る方法がないので効果を数量的に評価することはできませんが、感触でならばコストに見合う効果があったと思っています。
お陰様で中巻の発売も確定で、中巻でも同様のこと(お礼をつけて、Webへの露出を増やす試み)はやるつもりなのですが……もう一ひねりあったほうがいいような?


今回感じた改善点は以下のような感じです。

  1. 感想の粒度や方向性がばらばら
  2. サインはこちらの提供する付加価値として最善だったか
  3. 小細工も併記されることでこちらのお寒い台所事情が白日のもとに


三番目はどうでもいいのですが、最初の二つは何か工夫できるのではないかと思っています。


一番目の「感想の粒度や方向性」について。
上巻ではとにかく応じてくれる人の敷居を下げるためにフリースタイルにしました。
それだと紹介される方に一から考えるという労力をお願いすることになるので、今度はこちらの条件を満たすだけで紹介文の読者がある程度以上本の内容を想像できるようにしたいなと思います。
今考えているのは、いくつか好きなシーンをあげていただくというもの。
幸い私の本はシーンが細切れになっていて、電子メールや真壁の日記をのぞいても80ほどの小場面で構成されています。これは本に細かく索引がつけられていると同じことです。それを活かさない手はありません。
好きなシーンを最大三つあげていただき、その理由を書いてもらえば未見の方も興味を引きやすいのではないでしょうか。
そして私のほうでそのシーンを集計して結果を出せば、紹介を書いていただいた方にしても他の方の意見が参照しやすく興味深いのではないかと思います。


二番目の「サインの価値」について
できあがった書籍について、効果の大きな付加価値の創造ができるのは出版社だけです。製本、価格決定、流通。書籍を構成するこれら大事な要素に対し著者ができることは何もありません。
とはいえ著者はその本にとって「ただ一人」であり、著者にだけできるなにかはあるはずです。
今回は考える時間がなかったので「サイン」にしました。
しかしサインは本当に価値あるものなのか疑問が残っています。
マンガだったらサインにはほぼ例外なくイラストがついてきてそれを見て楽しめますが小説の場合は……それこそ希少性だけなのではないでしょうか。
そういう意味では、ことばで食べている小説家はサインというものにあまり頼ってはならないのではないかと思います。
じゃあどうするか。
ことばをその人にあげる、というのもいいのではないでしょうか。
警句を書くのではありません。
文章の一部をその人にあげるということです。


このサイトに来ている方ならご存知でしょうが、ここがまだ跡地ではなかった頃に三冊の本を出しました。上巻、下巻、別伝です。
そのうちの別伝を出すにあたり名前を考えるのが億劫きわまりなかった私はmixiを利用して名前を貸してくださる方を募集しました。
それは好評だったのではないかと思います。
中巻の付加価値として、下巻に対する登場権というものを提供したら面白いかもしれません。


ということで、こんなことを考えています。


■要件

  • 公開されたWebスペースで、書籍通販サイトへの直リンクがあること。
  • 中巻の好きなシーンを「何月何日 誰々のシーン」のように1つ以上3つまで挙げること。
  • それをしていただいた方には上巻と同じようにサインを提供する。
  • 期間が終わったあと、私の方で好きなシーンを集計しランキングを発表。
  • そこで得票数が下から三番目のシーンを選ばれた方と連絡を取り、お名前を下巻で拝借する。


ここまで長文を読んでくださった方は上記要件に関する所感をいただけないでしょうか。
効果的と思う、とかあざとすぎるだろうそれは、とか魅力を感じないとか。コメント欄かメール機能でお知らせいただいたら感謝いたします。お返事は一つ一つは出来ないと思いますけど。


お暇があったらよろしくお願いいたします。