いただいたサインが! もうね! 画像をアップして自慢したいところですが、サインのアップとかしていいのかどうかわからん。

Landreaall (14) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

Landreaall (14) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

 アマゾンの表紙画像が更新されるかどうかって、出版社によって差があるみたいです。一迅社は遅いみたい。GAは早すぎて呆れます。だって私、中巻の表紙見たのアマゾンが先だったもの。まだ著者校了が上がっていないか、上がったものの最終チェックをしていた時期でした。あれはびっくりした。
 さて14巻です。大興奮の13巻が終わった後、のんびりまったりしています。世界の輪郭を補強している感じです。13巻が好きな人はこういうのも楽しめるんじゃないでしょうか。ただ今回は落ち着いて感想が書けます(前回のは反省しています)。
 わたくしこのマンガについては質の悪い部類のファンで、箸が転んでも笑えるとでもいうべきか、この世界で人たちが生きているのを眺めているだけで満足してしまうファンです。でもそういう人たちだけが楽しめるようなものを書いていると増刷とかかからない!(いやこのマンガの話じゃなくてめニクルの話でもなくあくまで一般論ですよ! 熱狂的に好いてくれる人に甘えて多数に届ける努力を怠ると、初版で終わってジュンク堂が在庫を補充してくれなくなるよ? というあくまで一般論です) ですから! そういう企業努力みたいなものは大事です。わがままを通すためにも、たぶん、努力している姿を見せることは大事なんだと思います。
 そういう意味での模索の14巻。どのあたりが模索なのかなと痕跡を探るのが楽しい14巻です。
 えー。内容についてネタバレとかありますがたたみません。知るか。
 
『模索』はクウェンティンのマンガ前髪なのかなーと一読して思いました。あと生き物部の貴種設定。フィルの叙勲あたり。
 フィルの叙勲は私だったら受けると思っても書けません。読者のカタルシスよりも「そんなのありえない」って思っちゃう。スラム出身の不良なめんな。良家の子女なめんなって。身分の差は個人間ならともかく埋まらないよって。ただクッキー教室とかしてたので突然感はありませんでした。クッキー教室って一部の熱心なファンのみ知ってることだけど。
 ランドリオールは作者の頭の中にしっかりとした世界があるものを描いているからだと思うけれど、違和感が少なかったり、あってもあとから読み返すと納得できたりします。読み返しに堪える、ではなく読み返す価値がある物語といえばよいのでしょうか。
 今回解消された違和感で大きなものは本名騒ぎのときにユリアナがディアに言った『妖婦!』と、メガネ相談役の高すぎる自己評価でした。
 二十歳にもならない娘さんに『妖婦』はねーだろと思ってましたが、おそらく大老(ファラオン卿?)ってのは奇人変人大賞の親玉みたいな、水滸伝でいうところの羅真人みたいな? 人みたいに描写されてます。なるほど、そこでずっと修行をして使い走りをしているお嬢さんならば妖婦と表現されるのもわかります。奇人変人大賞とはいえ次の王様になるくらい立場のある人だからその弟子に『化け物』とはまさか言えませんがユリアナさんは本心ではそう言いたかったんじゃないかな。
 レイ先輩はてっきり隴西の李徴だと思ってました。プライドが高く、しかし本当の自信はないので世に能力を問えない単なる頭でっかち。でも政治のうえでバランスブレイカー的な能力があるのだから、安心して秘密を明かせる為政者が現れるまで隠遁していようと思うのは当たり前です。納得した。
 それにしても『書いてあることが本当のことかわかる』なのか『書いた人が本当のことだと思って書いたかどうかわかる』かで大違いですが、どちらにしても前途多難ですね。つまり自分が書いたラブレターが『本当のところは嘘ばっかりだ』ってわかる人生ってことですよ。俺には耐えられん。
 ほかには、エカリープのお城に常駐の軍事力がない理由とか説明されてます。納得した。
 あと残っている違和感は、天馬の乙女を選ぶ際に女子寮監督生のトリクシーも相談されて意見を言っているはずなのに、イオンが天馬のおつきだと知らなかったっぽいこと。これもそのうち。いやそれはない。
 馬鹿野郎! それはないってところをしれっと拾って「やられた」って思わせるのがこのマンガなんだよ!


 最後にマンガ前髪が出てきてなんだこりゃ模索ってこういうのかといやな予感がしましたが、さらにさらに話が面白くなることを予告して14巻は終わります。前に書いたことが全部無駄にならない、描いたことをヒントに新しい面白さがどんどんと生まれる、消費型ではなく拡大再生産型マンガです。リサイクルでエコですね。まあそういうわけで、ここまで読んだような人はアマゾンでまとめ買いしたらいいんじゃないかなーと思います。