淡々と定期巡回をする。以前はサッカーチームのファンサイトが中心だったが、ネット上にはおもしろいエッセーを書く人がいることを最近知ってからは、毎晩一回はお気に入りをクリックするようにしている。お気に入りの一つ、おもしろくはないがもうちょっと別の理由のために毎晩見ているサイトを開いた。その理由とは、生存確認。まあ、何かあれば恋人から泣き声の電話がかかってくるのはわかっているのだが。


 あけましておめでとうございます。真壁啓一です。
 旧年のご厚情に感謝申し上げるとともに、本年もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
 私はいま、かつてない過酷な環境で潤いのない生活を送っております。
 どれくらい大変かといえば、年賀状を書き忘れるくらいです。

 ごめんなさい。

ふっと眉をひそめて机の上の年賀状を手にとる。ぱらぱらと差出人を確認したが彼の名前はなかった。そうだ。何か足りないと思っていたが、真壁からのネタ年賀状がなかったんだ。楽しみにしていたのにあの野郎。
そして、真壁からの年賀状がないことに即座に気づけなかった自分を少し考えた。彼が東京にいたならば絶対に気づいたはずだった。
その、彼我の距離。