えー。去年の夏以来の実家倉庫から真壁啓一です。母親が挫折したガーデニングの機材がまるまる運び込まれることによって、俺の空間だった部屋は完璧に倉庫になりました。ショックを受けたのは、俺が好きだった歴史マンガシリーズが全てはとこに持っていかれたこと。そりゃ、もう読まないからかまわないんだけど一言欲しかったなあ。
両親にはこっぴどく怒られました。父親には殴られました。母親には青い顔でもう一度大学に入りなさいと言われました。まあそれはムリだけど、うちの両親は顔が広いから近藤教授にダメもとで打診してくれるつもりらしいです。それはありがたく受けることにしました。迷宮街を去ってどうするにせよ、やっぱり学士は持っておいたほうがいいから。俺は成績はよかったし、近藤教授には今でもメールで近況をお知らせしている。今年度の内にもどれば休学にできるようにしておくとは、最後に顔を合わせたときに言われていたことでもあったから。
そういったことをお話して母親には落ち着いてもらった。実のところ近藤教授がなんと言おうと一度受理された退学が覆ることはないと思う。だから「特例措置ムリ」と母親に突きつけられる前に彼女が納得するくらいの何かを見つけないといけない。
さて、実家に顔を出して大学をやめたことを話した。懸案が一つ片付いたので明日からどこかに旅行にでも行こうかと思っている。確か二木も実家に戻っていたはずだ。二人に会いに行ってみようかな。