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「・・・何事よいったいこんな時間に」
『俺は今日もぐるけど、俺がいない間も説得を続ける気か?』
「あたりまえじゃない。時間は惜しいのよ」
『止めても無駄か――じゃあ、一つだけ約束してくれ』
「なに? できることならするけど」
『くすぶってる奴らに何を言われて腹が立っても、「だったらお前達も深く潜ればいい」とだけは言うな』
「・・・なんでよ。正論じゃない」
『ああ、正論だ。正論だけど、それを言ったら議論が止まる。雪は探索で挫折したことはなかったな』
「あったらもう逃げ出してるわよ」
『俺はある』
「・・・美香のとき?」
『ああ。心が砕かれるってのは誰にでもあるもんだ。確かに雪にはそういう弱さはわからないだろうけど、それを無視したらすべて終わるぞ。――雪自身のためにもよくない。だから言うんだ』
「・・・わかった、約束する。――健二」
『なんだ?』
「無事でね」
『ああ。起こしてすまなかった。おやすみ』