22:37

『もしもし孝樹?』
「おう、もう京都に着いたか?」
『それなんだけどさ、実家の用事ができちゃってそっちに行けなくなっちゃったよ』
「あら。なんか大変なこと?」
『ううん、父上が娘と一緒にいたいっていじけてるだけ』
「いやそりゃ大変なことだろ。嫁に出しちゃったら遊べないんだから」
『そう言ってくれる男はなかなかいないよ、できた男だねえ』
「おい、いま誰と比べた」
『それはともかくだ』
「誰とだー!」
『やかましい! で、USJのチケットって日付指定じゃない』
「そうなのか?」
『渡したときに見なさいよ。日付指定なのね、で、明日行かないと無駄になっちゃうの』
「まあいいさ、たいした金額じゃないし」
『もったいないでしょう! だから翠ちゃんでも誘っていっておいでなさい』
「ええ? 翠ちゃん? いやいいよ別にわざわざ行かなくても」
『だめ。行きなさい。そして次回私をエスコートしなさい』
「・・・ああ、真壁くんと行ってこいってプレゼントすりゃいいんだ」
『まあそれでもいいけど、翠ちゃん正月に話したとき行きたがってたのよ。捨てるくらいならあの子にあげてね』
「ああわかった。それにしてもなんだ? 結婚前に妹ぶん相手に点数稼ぎか?」
『姉の心境になっちゃうのよね、あの子見てると。じゃあそういうことでよろしく』
「おう。俺戻るの水曜だから」
『了解。元気でね』