笠置町姉妹のアパート

 07:50

くらくら痛む頭を落ち着けようと水を口に含む。明らかに飲みすぎたのは、やっぱり仲間と別れるのがさびしいからだ。いろんなことを話して、いろんなことを聞いてもらった相手だ。命を助けて助けられた濃い付き合いをした相手だ。一年しか年上じゃなかったけ…

 09:07

ドアベルの音には予感があった。覗き窓からはそのとおりの男の顔が見えた。 「毎度」 この男がここ京都で染まった唯一の言葉遣いだ。みんな多かれ少なかれ、とくに北陸や中部、そしてなぜか東北の出身者は一様に語尾に「〜や」がついていく中でこの男だけは…