小林桂のアパート

 11:05

こんなものかな! と両手を一つ打ち、小林桂(こばやし かつら)は晴れ晴れとした思いで段ボールの山を眺めた。バッグに詰める生活用品、布団を除いたほとんどがそこには収められていた。この街のアパートは家具類がすべて据付になっていたから、引っ越すと…

 09:30

カーテンを開けようと立ち上がった足腰がふらつく。今日は本格的に荷造りをする日ということで、昨夜の酒はほどほどにするつもりだった。北酒場で非探索者の友人たちが開いてくれた送別会においてもそれはしっかりと守られた。その後「すこし話しましょうよ…