台風一過。といいたくなるほどいい気分だ。昨日の朝、原因不明の体調不良に見舞われたけれど一日かけて水を飲んでは吐いてを繰り返した結果、かなりいい感じに身体をクリーンにすることができた。やっぱり運動しないで食べてばかりいたのが原因だと思う。難儀な身体になったもんだ。
訓練場では笠置町姉妹と再会。彼女らも昨日戻っていたらしく、今日一日で身体を探索用まで絞り込むのだそうだ。お餅食べ過ぎたと笑うほっぺたは冗談ではなくふっくらとしている気がする。でも、まさか普段あれほど運動していて基礎代謝の高い人間が六日お餅を食べ過ぎるだけで見てわかるほど太るものだろうか? やっぱり気のせいだろう。
葵にあわせてペースをゆっくりと、午前中はずっと走って午後から打ち合い。翠いわく、かなりよくなってきたという。やっぱり翠パパに相撲の稽古をつけてもらえたのがよかったのではないだろうか。人間の身体ってのは思うよりも動くものだ、と実感しさえすれば自分でも動かそうとするし、動かそうとすれば動くものなのだ。あとは鈴木さんに稽古をつけてもらえたのもいい経験だった。彼女はナイフを二本持って戦うスタイルで、二本使うときの動かし方、注意の引き方など教えてもらった。当然それはナイフを持っていなくても生きる。早く予想外に動かせば相手の注意を少し向けることができる。
と有意義な訓練をして早めに切り上げた。笠置町屋敷に常盤くん児島さんと一緒にお邪魔してほうとうを食べる。木曾の姉妹は慣れっこらしいけど常盤くんと児島さんは味噌味の中にかぼちゃが入っているという感覚を不思議に感じていた。俺なんかが東京で食べる味噌鍋にかぼちゃが入っていないことを疑問に思うようなものなのだろうな。
今年の初陣を済ませてきた津差さんとモルグでお話をする。津差さんは仲間に恵まれず、まだ第一層だそうだ。治療術師の幌村くんが化け物を見分けられるようになる治療術を今回で身につけたから、次回からは第二層だとのこと。え? それってものすごく成長が早い、と思って訊いたら津差さんもうなずいていた。性格はともかく才能は天才に近いと思えるのだそうだ。
中村さんというひとを知らないかと津差さんから訊かれる。この街で働く女性なのだそうだ。どうして探しているかは教えてくれなかった。中村? ありきたりな名前だから当たり前なのだけど、どこかで会ったような気がする。結構最近に。熱にうなされて夢でも見たかな?