23:42

もう何度目か忘れたくらい発信ボタンを押した。返ってくるのは相変わらずの呼び出し音だった。ため息をつきもう一度リロードのボタンを押す。相変わらず、昨日の日付の日記が再表示された。
携帯電話を繰り、一つの電話番号を表示させた。しばらくじっと見つめるが、すぐに表示を消す。その繰り返しだった。
携帯電話が震えた。はっとして表示を見ると待ち望んでいたものとは違う名前。しかし慌てて着信ボタンを押した。
「連絡ないよぉ、克巳ぃ」
『お前が見える方にもないか? 俺も電話してるんだけど』
「連絡ないよぉ」
『落ち着け! 大丈夫だって! きっと酔っ払って寝てるんだよ』
「連絡ないよぉ」
『だから』
「もういやだよ」
『――』
「ねえ私何すればいいの? どうすれば啓一帰ってくるの? 教えてよ、ねえ、教えてよ」
『お前、落ち着け! ――ええい! ちょっとレンタ借りて京都に行ってくるから待ってろ!』