今日はパトロールの日なので早めに書く。今日から津差さん部隊の佐藤良輔(さとう りょうすけ)さんと野沢康平(のざわ こうへい)さんも参加することになった。これで、第二期でパトロールに加わっている人間は八名になる。笠置町翠(かさぎまち みどり)、津差龍一郎(つさ りゅういちろう)、鈴木秀美(すずき ひでみ)、俺、塩崎傑(しおざき すぐる)――この人は俺たちと同じ時期からの生き残りで、今は第一期の部隊に混じって第二層を探索している――、相馬一郎(そうま いちろう)――この人も初期の戦士で、なんだかわからないけど、新参の人たち専用の代打のようなことをしているらしい――、そして佐藤さんと野沢さんだ。ちなみに加えていいかどうかの判断というのは訓練場の教官である橋本さんがやっている。この人、一部の戦士に稽古をつけているかあくびをしているかしかしていないけど、きちんとひとりひとりを見ているんだな。
いつもどおり六時に他の探索者の目覚まし時計で起きて外に出たものの、どんよりとうす曇りのうえに昨夜のうちにうっすらと雪が降っていたらしく、こういう日は怪我をしやすいので三時間くらいずっとグラウンドを早足&ショートジョグだけですごした。さすがに他の人も暖かい布団が恋しかったのか、ジョギングの人間も少なかった。落合さんは・・・まあ寝てるんだろうけど、境周(さかい あまね)さんまでいないのは意外だった。そういう誘惑には屈しなそうだし、東北の方だから寒さには強いのかと思っていたんだけど。
10時くらいから翠が現れたので彼女のアップを待ってから稽古をつけてもらった。お餅を食べ過ぎたと言っていて、肥ったというのは嘘じゃなかったか、身体の動きが悪いぞと言ったら――まあ、俺は鈍感だから。女性は大変だ。
とはいえこれまでも何度かそういう時期があったはずなのに気づけなかったのが、今回はその影響に気づいた。やっぱり俺は上達しているのだと思う。
早々に切り上げ「部屋で寝てる」という翠と一緒にあがる。とはいえどこにも出かけるつもりもなく、笠置町邸に置いてもらっている本を取りに行った。というのもうちの両親から「退学とりやめで休学にできませんか?」という打診を受けた近藤教授からの連絡で、「そのあたりはなんとでもなる」と言われたから。そのときに、たとえ復学はしなくても卒論を書き上げたら見てもらえるという話になったからだ。やっぱり勉強する習慣は残さないと、と身近に常盤くんを見ていると思う。そういえば、野沢さんは夜学に通っている。その授業料を稼ぎ出すためにこの街にいるのだ。
てか頭錆び付いているし。モルグでうんうんと唸っていたら津差さんに覗き込まれた。津差さんが言うには、バーテンの小川さんは実はバーテンが副業で、本業は国際政治系の雑誌(・・・『フォーサイト』とかかな?)に記事を書くフリーライターなのだそう。わからないところがあったら訊くとしよう。