12:30

「はい翠です」
『真壁です』
「うん、どうしたの?」
『いまどこにいる?』
伊勢丹。孝樹にいちゃんと」
『お、おお! ということは?』
「下川さんと」
『なんだ、二人きりかと期待したけど――ってことは、水上さんも夕飯一緒に?』
「ううん、京野菜食べに行くって」
『まあ、まだ助かるな。で、どうするつもりだ? 口裏合わせるにも俺にも状況教えてもらえないと』
「・・・やっぱその話出るかな」
『出ないだろ、なんといっても津差さんとかもいるわけだから。でも万一出た時の方針くらいは決めてもらわないと――京都駅前だな、そこで二人から切れろ。俺も行くから』
「・・・」
『彼女と一緒にいるところにどれだけついて歩いても、水上さんの中では妹のままだということはわかってるな?』
「――はい」
『メシは食ったな?』
「はい」
『じゃ、駅前地下街のコーヒー屋で30分後に』
「真壁さん」
『うん? 何だ?』
「ありがとね」
『地上でも地下でも世話になってるしね。少しでも返せて嬉しい』