神崎圭介

今年も残すところあと三日。日記をつけ始めたのが11月1日だったから、もう二ヶ月も続いたことになる。最初の頃にあった「明日死ぬかもしれない」という切迫感はいまはもうない。別に死なないと思っているのでもなく、死んだら死んだで仕方のないことだと受け…

どんよりとした曇りの一日。津差さんと訓練をして過ごした。津差さんたちは本当は今日もぐるつもりだったのだけど、彼らの治療術師の的場さんという方が体調不良になってしまったということだった。神崎さんの死にショックを受けていたのだという。真城さん…

ユッコにアキ、お元気ですか。姫です。なんかね、同じグループの今泉くんには姫って呼ばれてます。気品があるからかしら(わがままだからだよ/気づけよ)? 今泉くんはちょっと女装させたくない(負けたら落ち込みそう/というか負ける/今でも負けてる)く…

誰も泣かなかった。それが一番の驚きだった。探索者の中には神崎さんと男女の仲だった人もいるはずなのに。 神崎さんの部隊が全滅した。今日はじめて第二層に挑み、そこで何かにやられた。ちょうど地上への電話機が設置されているあたりで敵に襲われたらしく…

 11:12

生まれたその瞬間から女性にはもててきたような気がする。それはもちろん自分の秀でた外見に由来するものだろうが、母親と祖母との三人暮らしだった幼児期、その二人に限りない愛情を注がれつづけたことから生まれる意識なのだろう。だから小学校にあがり、…

訓練は西野さんと午後からにした。当然午前中は起きられなかったのだ。 西野さんとは初対戦になる。その背筋のなせる技なのだろうか、たいへん太刀行きが速い人だった。ただ、まだ実戦は三度目ということで頭で作戦を組み立てられていないのがわかる。それで…

ユッコさんアキさん元気でしょうか。君たちのアイドル(バラドル?)秀美さんです。メールありがとう。お二人に先立って私は大人になってしまいました。お酒飲んで一人暮らし始めちゃったらもう大人よね。アパートも決まったし、スーパーの値引きシールのタ…

東京には月〜水といるつもりだった。金曜日に潜る予定を立てていたから木曜日、つまり今日一日をかけて体調を整えるつもりだったのだ。しかし少々予定が崩れ、迷宮街に戻ってきたのは今日の午後三時になってしまった。一日延期してもらおうかとも考えたが、…

六時に起床。訓練場のグラウンドを30分歩き、30分走ってから二時間ストレッチをした。今日は午前中から観光だからできるときに身体を動かしておかないといけない。シャワーを浴びてご飯を食べて青柳さんとの待ち合わせ場所に向かうと、青柳さんと同じ日に迷…