片岡宗一

 18:35

本日の探索者が使用した剣とツナギが大量に運ばれてくる。山積みになったそれを目の前にして片岡宗一(かたおか そういち)は二人の若者に視線を送った。一人がタグを読み上げつつそれを片岡が見やすいように掲げ、片岡が決めた担当の鍛冶師をもう一人がタグ…

 16:23

この数日は菜食だけで過ごし日々の半ばを瞑想に費やしている。高度の精神集中の末に研ぎ澄まされた心身には熱と活気が渦巻く鍛冶場は辛かった。今日の分の集中がこれで台無しだろう。理事はいい顔はしないはずだった。それでも外出したのはあるの男性の様子…

 12:32

片岡宗一(かたおか そういち)はその紙片を見下ろして口をへの字にまげた。その紙片自体は昨日事業団職員の一人から見せられたもの、コピーがコピーを生んでおそらく今では今朝の朝刊の数よりも多く出回っているであろうものだった。 ちなみに1,000人を超え…

葵「大丈夫だよ。豪勢なもの作る気ないし。ネコの手も一つあるし」 翠「にゃー。食器洗うにゃー」 葵「いやそれ準備じゃないから。片付けだから」 翠「にゃー。熊肉でよければ裏山から狩ってくるにゃー」 葵「いやおせちに熊肉使わないから」 今年もあと二日…

 16:20

四時を過ぎると今日の探索を終えた連中が使用した武器防具が運び込まれてくる。現場のチーフである片岡宗一(かたおか そういち)にとっては一番あわただしい時間帯だった。ひとつずつの状態を見極め、誰なら任せられるかを考え、てきぱきと割り振っていく。…

 13:56

かぶとの類を身につけている相手には決して大上段で切りかかってはいけない。かぶとは衝撃を受けとめるためではなく流すために作られている防具であり、振りおろした剣が逸らされたら一秒は無防備になってしまうから。訓練場の橋本辰(はしもと たつ)に何度…

 13:20

「こういうものがあるなんて想像もしませんでしたね」 鹿島詩穂(かしま しほ)はさすがに魔法使いの訓練責任者だけのことはあり、高田まり子(たかだ まりこ)に差し出された石片をつかんだだけでそれがどういうものなのかを理解したようだった。 「まりは…

 19:05

北酒場内部を大別すると六つに分けられる。ひとつは六〜十人座れる丸テーブルが並ぶ集団用の飲食スペース、二つ目は八人がけのテーブルが並ぶ個人用の食事スペース、三つ目はバーカウンター、四つ目はパーティーなどを行うためのホール、五つ目はオープンテ…

 16:30

「片岡さん、どうしたんですかその顔」 お先に失礼します、と声を残して裏口を抜けた小林桂(こばやし かつら)は、商品を納入にきた鍛冶師の顔を見て驚きの声を上げた。先週見たときは健康的に日に焼けていた30代なかばの男の顔は紫色に変色して、右半分が…